NEC製DOS/Vパソコン・PC-98NXシリーズ編
(※PC-LW30H/63D6・Windows 98/SE~Me)

さて、NECといえば「PC-98シリーズ」…なのですが、「Windows 95」の発売当初、同社では初めての「DOS/V規格のパソコン」である「PC-98NX」シリーズを発売しました。
そんなわけで、今回は作者が初めての「DOS/Vパソコン」の体験記と題して、このPC-98NXシリーズのパソコンを解説したいと思いますが…正直このパソコンは、知人から修理を依頼されたものでもありました。

・TOPIC 1 初めてのDOS/V機

このホームページでも掲載している通り、私は特にPC-9821シリーズを使用していたが、ある時期からDOS/V規格のパソコンを触り始めた。
厳密には、初めて触ったそれは、地元県内のあるショップが販売していた組み立て式のもので身内から譲り受けたものが最初であったといえる。(※また別頁で解説)
だが、いま思えば、きちんとしたメーカーのDOS/Vパソコンは、これが初めてであったように思う。
そのパソコンは、知人(※某Tさん)から修理を依頼されたものであったが、当初本人がメーカーに修理見積もりを依頼したところ、その代金が60,000円ほどであったという。

ちなみに主な症状としては…パソコンを再度初期化…「リカバリ」をかけ再起動すると…「scandisk」がかかり、およそ80%の段階でディスクエラーが発生、起動できないとのことであった。(※OSは、Windows98)
おそらくは、リカバリの方法でも変更してみればうまくいくのではないか…と思った私は、早速それを実行してみた。しかし…。
fdisk」にて、こと細かく領域の設定方法などを変えてみたが…ついにうまくいかなかった…。
(※領域の設定を変えると、いきなり停止してしまうなどの症状が出た)

…では機器の方(※いわゆる「ハードウェア」)ではないのか?と思った私は、本体を一度分解し、ホコリなどを飛ばしてみることにした。(※ちなみに分解は意外にしやすい機種であった)
しかし…これもダメであった。

やはりハードディスク(※以下、「HDD」と略す)の方で問題があるのでないかと思い、手持ちで遊んでいた別の1GBのHDDを取り付けてみることにした。(ちなみにもとから付いていたHDDは6GBであった)
幸いソケットの形状など、その規格はまったく同じであった。
そして…正常にインストールが終了…!
しかし、再起動をかけてみるが…やはり立ち上がらなかった。

このあとさすがの私も、メーカーへ問い合わせを行うことにした。その結果、対処方法としては…

・同じリカバリ媒体で、他のユーザーのものを使う。
・最悪、マザーボードの交換を行う → 部品代だけで30,000円ほど必要
・そのほか、HDDの交換を行う → アップグレードを含めれば40,000円必要
・前期と後期の生産型の違いではないか?

そんなわけで、DOS/Vパソコンでは、マザーボードの設定というものもあることを知った私は、ちょっといろいろと触ってみることにしたが…それもやはりムダに終わった。


・TOPIC 2 別のOS(※Linux)をインストール

どうせなら…と、以前PC-9801シリーズにインストールしたことのある、「PC-UNIX」(※正確には「FreeBSD」)をインストールしてみようと思った。
このときインストールしたのは、「Plamo Linux」(※バージョンは「1.4.3」試用版)であった。
前述の、手持ちの1GBのHDDにそれを行ったのだ。
そして…その結果は意外なものであった。
グラフィック用の専用のチップを認識していないと思われるが…一応は動作したのである。


WINDOWS95

さて、このとき私が思ったのは、「やはり原因はHDDでは?」…という疑問であった。
そこで、今度は当時「PC-9821Nr12/D10」(※別頁)で使用していた2GBのHDDに乗せ換え、同じPC-UNIX…「Linux」で違う種類…いわゆる「ディストリビューション」の異なるものをインストールしてみようと思い、今度は「Redhat Linux」(※バージョンは「7.2」/当時・左画像)の付録CD-ROMつきの書籍を購入、インストールしてみた。
すると…こちらはなんなくスムーズに動作し始めたのである。

…結果、これらのLinuxは、もとの6GBのそれにインストールをしてみたところ、実際には動作しないことが判明した。これで障害の原因は、HDDにあると思われた。

追記事項 「PC-UNIX」関係については、別頁で解説



・TOPIC 3 判明した意外な原因

前述の件に加えて、ある意外な事実が判明した。それは、前述の「Redhat Linux」の書籍に掲載されてあったことである。
DOS/Vパソコンには、HDDについては、その先頭のレコード部分に「マスターブートレコード」(※「mbr」)という情報が記録されており、これは、各種OSなどをインストールした際に記録される情報であるという。
実はこの情報を正しく読み書きしないと、OSがインストールできないなどの不具合が発生するという。

この事実にちょっと気になった私は、手持ちの2GBのHDDに、このパソコンのもとのリカバリ媒体にて一旦インストール、そのあとで「fdisk」を立ち上げ、同コマンドにてマスターブートレコードの設定を行った。
すると…正常に再起動して、OS…Windows98が立ち上がったのである!

ここまでくるのに一ヶ月。
DOS/Vパソコンについて、いかに自分が無知であることを知った瞬間なのであった…。(かなり反省)
ちなみにこのあと、同OSの「Second Edition」のインストールを行った。

追記事項 インストール後の不具合について

インストール後(※リカバリ後)、電源投入時に「Save to disk…」の表示が出るが、Windowsの場合は出力されなくなるが、Linuxではずっと出力される。
ハイバネーション」機能の不具合と思われるが、故障ではなく特に問題はないらしい。

再インストールに使用するリカバリ媒体は本体に付属していたもので、「CD-ROM その1」のみ使用。
付属のソフトウェアはインストールしない。


・TOPIC 4 ようやく使用開始!

さて、結果HDDの不具合であることが判明し、修理を依頼してきた知人にその事実を告げたが…なんと私にこのパソコンをくれるということになり、そのHDDは2GBではあるものの、しばらく使用することとなった。(※以後、「Windows Me」まで使用。同機種のノート型は、「Lavie-NX」シリーズと呼ばれていた)

…それでは、あらためて初めてのDOS/Vパソコンとなったこのパソコンの当時のスペックをみてみよう。

WINDOWS95

まずCPUは、お馴染みのインテル社の32ビットCPUである「Celeron M」、クロック数は300MHzほどであった。(…と、思われる)
当時、ちょうど「PC-9821Nr12/D10」を使用していたが、それに比べて、およそ二倍のクロック数である。
そして内蔵しているメモリの合計は、64MB。Windows98での使用であれば、通常使用には十分な容量だ。
…だが、HDDの容量は前述の通り2GBであった。本来の6GBに比べれば、ちょうど三分の一の容量でしかない。
ただインストール後、1GB弱は残るため、普通に使用すれば不具合はない。

次に表示部であるディスプレイはTFT液晶であり、これまで使用していたDSTNに比べて非常に見易くなった。
さらにその解像度は1076×768ドットであり、液晶の画面サイズも14インチほどと、かなり広い。(※上記の画像は同シリーズ・別機種の画像)

さて、この機種は本体の厚みがわりと薄いのに、様々なストレージデバイスや外部インターフェイスが搭載されていた。
一つは、フロッピーディスクドライブ(※以下、「FDD」と略す)が内蔵されていた。(※1.25MB/規格は2HD・但し1.44MBのフォーマットも可能)
それに加えてCD-ROM(※読込み専用)も内蔵されており、本体内にはステレオスピーカーが搭載されていた。余談なことだが、そのままCDも聴ける。
そして…こちらも私にとっては当時初めての機能になるのだが…USBインターフェイスが搭載されていた。

ちなみにバッテリーは既に消耗しており、電源レスで使用することはできなかったようだが…小一時間くらいならバッテリで動作したようだ。(※今回はバッテリーを新品にはしなかった)


・TOPIC 5 Windows 98の使用について

別頁でも掲載しているが、DOS/Vパソコンだからといって、PC-9821シリーズのものに比べて特に違いというものはない。また、基本的な機能は全く同じである。
但し、前述の通りUSBインターフェイスについては、そこから機器を接続するとき、幾らか「認識」されるかしないかの機能が働き、その都度「プラグ&プレイ」が開始された。
また、当時はプリンタの接続では、主流の接続方式となった。

当時は、その性能もよかった様なので、「Windows Me」(※後述)から採用された「メディアプレイヤー7」をインストールし使用してみた。
ちなみに、そのインストール容量は当時20MBほどであった。
その結果、MP3ファイルの再生は特に問題はみられなかったが、ムービーファイルに関しては「コマ落ち」…いわゆる途中の画像が飛び飛びになる現象が発生した。


・TOPIC 6 内部のプログラムについて

Windows内にインストールされたプログラムについて、少し注意点がある。
それは、「Cyber trio NX」と呼ばれるプログラムである。(※スタートメニューから起動できる)
これは「キッズモード」や「アドバンストモード」などといった、ユーザーレベル(※ここでいえば「家族」で使う場合の設定だろう)に対応した切り替えが可能となっているのだが、その設定如何によっては、タスクバーなどの設定状況が初期化されるので注意が必要だ。

さて、同NECのPC-9821シリーズと比べて、DOS/Vパソコン特有の機能を活用したソフトウェアを使うこともできる。
それは、Windows 98(※SE)のインストール用のCDの中にあるファイルなのだが、「QBASIC」というプログラミング言語が用意されているのだ。これは、一般的な「BASIC」言語と同じものだ。
場所は、CDの「tools」フォルダの中の「oldmsdos」フォルダの中にある。(※当時) これらのファイルを、Windowsフォルダの中の「Command」フォルダにコピーする。(※コピーの後、各種ファイルの「読み取り専用」の属性を解除しておくこと → 要はファイルのプロパティの変更である)

さて、起動の方法だが…「MS-DOSプロンプト」から、「us」と入力して英語モードへと移行し、「QBASIC2」と入力してEnterを押せば起動する。
起動後はヘルプファイルだとか、そういったものが出てくるはずなので、一旦「ESC」を押すとその処理から抜けられる。あとは、いろいろと試してみるといいだろう。

実際に作者が使用してみての感想だが…当時はプログラミング誌にも掲載されたものだが、BASIC言語でのプログラミング学習には役に立つと思う。
もっとも、本格的にやるなら、「Visual Basic」の方が良いのだが…。


・TOPIC 7 Windows Meのインストールとその使用について

さて、Windows 98が発売され、それからまもなく「Windows 2000」が発売された。
同OSは企業用、いわゆる「Windows NT」シリーズの流れを組むものだが、それからまもなく、「Windows Me」が発売された。
それは「黄金時代」を象徴する、「Millennium」と謳われたものであり、Windows 98に比べて機能強化が図られていた。
その主なものについては、従来のUSBに加えて、Bluetooth、IEEE1394への対応などであった。
また、画面上のアイコンのデザインが変更、内部プログラムである「エクスプローラ」においては、画像ファイルであればサムネイル表示ができるなど、使い勝手が向上していた。
さらにインターネット用のブラウザとして、「インターネットエクスプローラ」のバージョンが「5.5」となった。

そんなわけで、スペック的には問題はないだろう…ということで、当時このパソコンに同OSをインストールしてみた。(※使用したのは「アップグレード」版/当時)
その結果としては、前述のスペックでは、やや力不足の様だ。
たとえば前述のメディアプレーヤーなどは、Windows 98で使用したものと比べて格段に重くなった。
そのほか、HDDを頻繁に使用するソフト、またはプログラムにおいても同じであった。


・TOPIC 8 今回の最終仕様について

Windows 98から98SE、そしてMeまでをインストールして使用してきた「PC-LW30H」であったが…今回は、なんとかWindows Meまでの使用となった様だ。
そんなわけで、この機種での最終仕様は下記の通りである。

 ・CPU   … Celeron(300MHz)
 ・メモリ …  64MB
 ・HDD   … 2GB → パーテーション(※領域)は特に設定なし
 ・FDD   … 内蔵式 → 1.25/1.44MB(※2HD)
 ・CD-ROM … 内蔵式 → 読込み速度などは不明
 ・Windows Meのバージョンは、「4.90.3000

後に同機種は県下の某リサイクルショップにて処分(※当時)