ASUS製32ビットパソコン EeeBook X205TA編

Windows 10」が発売された当初、それに対応したパソコンがメーカー各社から発売されました。
中でも、当時Windows10に関する雑誌に掲載されたのは、その多くがノート型のパソコンでした。
今回は、それらの雑誌で、そして、ネットでも話題の多かった、ASUSというメーカーのノートパソコン・「EeeBook X205TA」について解説したいと思います。

X205TA

…そのパソコンを手に入れたのは、偶然だった。
ちなみに購入したのは、数年前になる。(※2019年1月より換算した場合)
ある日、何気に市外の某リサイクルショップに電話をして、安い中古パソコンはないか?…と、問い合わせたところ、この機種の名前が上がった時、作者は迷わずこのパソコンを取り置きしてもらい、数日のうちに現地へと赴いて購入した。
…なぜなら、当時の「Windows 10」のパソコンの情報誌に、この機種が掲載されていたからだ。

さて、現地へと向かう交通機関の中で、作者は携帯電話でこのパソコンのレビューをネットで調べてみた。
わりといい評価が多いと思いきや…メーカーの対応が悪かったとか、初期不良が多かった…とのレビュー記事が目に付いた。
確かに今回は中古だし、発売された時期は一年前ということを考えれば、少し不安だったが…既に取り置きをしてもらっている状況でもあったため、とりあえず現地で購入した。
そんなわけで、実際には本体の箱も付いており、どちらかといえば「極上品」の様にも思えた。
そんな本体の外観は各色あるらしいが…作者のはだった。
そして、本体は驚くほどに軽かった。
分かりきっていることだが、このパソコンは「モバイルノート」である。
ところで当時の購入価格は、21,600円。(※税込み)
まぁ価格くらいのものだろう…と思ったが、以後、意外に「使えるパソコンである」ことが判明したのであった。

・交通機関の中で余裕で初期設定

さて、最初驚かされたのは、これは当たり前のことだが、そのバッテリーの持続時間の長さである。
帰りに交通機関の中で、Windows 10の初期設定を途中でトラブルが起こる事もなく無事、終えられた。
ちなみによく使うソフト(※エディタなど)を保存したUSBメモリを持参しており、それらも無事、インストールすることができた。
このとき思ったのは、画面上の文字が、やや小さいと感じたくらいであった。


・Windows10の動作とその速度は快適

このパソコンのCPUは32ビットで、インテルの「Atomプロセッサ」である。
そして正確なその型番は「Z3735F」、同じくクロックは「1.33GHz」である。
ちなみにメモリは2GB、ストレージデバイスはハードディスクではなく、SSD(※互換品と思われる)で、その容量は64GBである。

とかく新しいOSにアップグレードすると、心配になるのがその処理速度なのだが、幸いこのパソコンではそんなに処理が重たいとか、そういった問題は一切なかった。(今回は断言してもよいと思う)
但し、今後インストールする上で、あまりマシンスペックを要求されるソフトウェアだけは、話は別である。
なお、この機種にインストールされていたのは、同OSの「32ビット」版で、そのグレードは「HOME」であることを補足しておく。


・Windows10で使える便利な機能と思ったもの

とにかく「最新」である同OS。
作者にとって、「一番使えた機能」としては…やはり幾つもの画面が持てる「仮想デスクトップ」機能であったろう。
ちなみにこれは、複数のデスクトップを同時に使える機能のことだ。
たとえば多くのソフトを利用するときは、この機能はとにかく重宝する。
なぜなら、従来のWindowsの様にデスクトップにソフトをあまり多く立ち上げすぎると、その切り替えだけでややこしくなる。
もっとも外部に別のディスプレイをつないでいるなら話は別である。
…だが、ショートカットキーを活用して画面切り替えなどをすれば、なかなかに使える機能であることが分かるはずである。(「Windows Vista」の頃は、あの画面切り替えは一体なんだったんだ??と思ったが…)

ところでこれはそんなに重要ではない機能だが…Windows 10には、「PowerShell」というコマンドモードが用意されている。
なお、これは別処理である「コマンドプロンプト」とは、また別の機能として扱われている。
また、このモードのコマンドは、あの「Linux」とほぼ同じものであり、「64ビット」版では、このモードからそのままLinuxを使用(※操作)することも可能らしい。(※「bash」の機能)
但し、今回の32ビット版では、この機能は使用できない。


・最初にぶつかったドライバ問題

さて、購入した翌日、早速ある問題にぶつかった。
それは…どうも内部の無線LAN…いわゆる「WiFi」が機能していない様なのだ。
これは…と思い調べてみると…うーむ、確かにドライバの様子がおかしい。
デバイスドライバの無線LANのアダプタの表示行に、「!」の黄色のマークが付いていたのだ。

とりあえずサービスセンターに連絡し、この件について問い合わせてみた。
するとメーカー側の対応は…作者が購入したこの機種は、その型番から、もとから「Windows 8.1」のプリインストールマシンであったのだという。
さらに詳しくいえば、8.1に対応したハードウェアのため、「Windows 10」のドライバでは、使用不可…ということだった。
結果として、なぜかメーカーのサポート外になりますとのことだった。
…? <(-_-;)
これはあくまで作者の推測だが…どうやら前のオーナーは、無線LAN(※WiFi)について、Windows10にバージョンアップした際に、「故障した」か、或いは「壊れた」ものと思い、同機を手放したものと思われる。
このあと作者は迷わずネットでこのパソコンの情報を調べ、そして…同メーカーのホームページに掲載されていた、同機種の幾つかのドライバをダウンした。
それは、前回の「Windows 8.1」対応のドライバであった。
そしてそれをインストールする。
すると…なるほど、正常に動作し始めた。
Windows 10で運用していても、ドライバの一部には古いもので続けて運用しなければならないものもあるらしい。
しかしせっかくの最新のドライバが前回の機器に対応できないとは…それが現代のパソコンなのだろうか?…と、考えさせられた。
ちなみに以後、この無線LANの機能のおかげで、作者はこのパソコンが重宝することになった。


・メールソフト(※メーラー)にやや難あり

これは別に、使用している人は多分なんなく使用されていると思うのだが…標準で用意されているメールソフトの「メール」は、作者は随分と使いづらいと思ったのが正直なところであった。
なにしろ、購入して随分経ってから、以前の「Windows Live Mail 2012」を導入したくらいだからだ。
実は「PHP」のプログラミングで確認したいことがあり、仮想のメールサーバーを動かそうとしたとき、この「メール」は動作しなかったのだ。(それは未だに原因不明。ただ、「そのような使い方には対応していない」ということは確認している)
そんなわけで、以前のものにお世話になったというわけである。

・補足事項

Windows 10では、同メールソフトの推奨はされていない。
また、「Gmail」を使用している場合は、厳密には同期というものはとれない。


・問題だったアップグレード問題(「ビルド1703」~「1709」の間で発生)

Windows 10を使用するユーザーなら誰しも知っている当たり前のことだが…一度大掛かりなアップグレード(※「バージョンアップ」)が行われた場合、しばらくの間はその猶予として、前回の内容が、内部のSSDなどに残される。(※カレントドライブの「Windows.old」フォルダに前回の内容が保存されている)
しかし、ある一定の期日がきたら、それらは自動的に削除される。
そしてさらに、「そのバージョンアップした時点でのリカバリ(※再初期化を行うためのシステムが保存された領域)の領域が自動的に生成される…というものである。
(※これは再度リカバリをかけたとき、スタートメニューの表示が、すべて現代のパソコンの様に「↓」の印の表示などに変わる)
…ただ、このアップグレードの作業に伴い、これも誰しもが知るところの通り、下記のように幾つかの問題が発生する。

● インストールしているソフトウェアにライセンス契約のあるものは、一旦すべて初期化され、再度ライセンス契約とその登録作業などが必要となる。

● 一部のデバイスドライバがすべて初期の状態に戻され、最悪、利用できなくなる。(※この機種では、毎回無線LANが使用できなくなった)

● 上記の内に入るが、プリンタドライバなどが使えなくなる。

…などである。
ただ、このアップグレードの作業のスケジュールやその設定は、Windowsの中では一見すると設定できるようにみえるが、実はアップデートの処理は一切制御できない。(※それをなんとか止める方法は、現在ネット上に掲載されてはいるが…)
いわばこれは、「勝手に動作している」ものと考えてよい。
結果的に、どうしても以前の状態の方がいいということであれば、前述のように期間内に戻す方法をとるしかない様だ。

・補足事項

2019年1月現在、このOSのバージョンは「1803」となっている。
残念なことに、ここで掲載されている内容とは少し異なる解説があるかもしれない。
そのへんについては、ご容赦いただきたい。


・ブラウザ「Edge」に関する度重なる不具合

なにもこれはブラウザだけに限ったことではないが…前述のような大掛かりなバージョンアップが成されると、内部のプログラム(※「アプリ」という方がいいか)の機能が、いつのまにか変わってしまう、或いは追加される…という、ある意味の不具合が発生する。(※たとえば「フォト」も随分と機能が変わっていた)

Windows 10では「Edge」というブラウザが用意されている。
これは、初期のWindows 10の当時に比べると、随分と不具合が出ているように思えた。
この機種だけかもしれないが、実際にページを閲覧中のとき、ページをクリックすると、スムーズにスクロールしていた画面が急にぎこちない動作になってしまうのだ。
たとえは、行単位なスクロールの様に…である。
一時直った時期もあったのだが…すぐにまた同じ障害が起こってしまった。


・「限りあるデバイス」といわれる「SSD」はどうか?

このパソコンにストレージデバイス(※補助記憶装置)として内蔵されているのは、現代のモバイルノートなら必須の「SSD」である。
…ただ、このSSD、厳密にはその「読み書きに限りがある機器」といわれている。
まぁ新規に購入して使う分には心配は要らないであろうが…作者の場合は中古での購入であり、そういや発売後一年経過しているのと、前のオーナーがどのような使い方をしているのかも分からないから、正直不安はあったものの、いまのところは、何も障害が起こることはない様だった。
…ただ、仮に作者がこのパソコンを手放した後に購入したユーザーは…どうなるのであろうか…?
(※ちなみに搭載されているのは、厳密には「SSD」ではなく、廉価版か、或いは「互換商品」といわれている)

ところでこれは余談だが、作者の使用したソフトウェアの構成だと…もともとこのパソコンに内蔵されているSSDの容量は64GBではあるが…残りの容量は十数GBくらいであった。
但し、「Office」系のソフトはインストールはしておらず、「VS2015」、「Eclipse」(※「Android SDK」などを含む)、「Unity」など各種ツールが主であった。(※但し、購入当初での構成であり、現在とは内容が違う)
なお、SSDは「読み込み専用」に使用することが望ましく、頻繁に書き込みをする用途では推奨されない。


・経年変化による本体各部の劣化と不具合など

後になったが、このパソコンはかなりローコストで販売されていた商品である。
しかし今回購入した本体そのものの外観はよく、かつ、内部もしっかりしていたため、特に問題は見当たらなかった。
いわば「掘り出し物」といえば、確かに今回作者は、いい意味の「当たり」を引いたのであろう。
…ただ、液晶部分と本体の「ヒンジ」の部分が少し弱かったのであろうか…幾度か液晶表示が乱れて飛ぶときが見受けられた。
同時に少し衝撃を与えたり、キーボード左側のキーを強く叩いたとき、画面が乱れたりすることもあったが…まぁ使えないこともない。
また、これは機器には関係はないが…サポートセンターと、なにやら連絡が取れない状況となっている。
確か連絡すると…いきなり切れてしまったのだ。

そんなわけで総評というわけではないが…多分、基本的に購入したモノがきちんとしたものであれば、わりと永く使用することはできるだろう。(「made in china」なら不具合はあってもおかしくはない)
実は同メーカーのノートパソコンは、機種は違えど、作者にとってはこれで二台目の購入であったのだが…前回の機種も、わりとしっかりしていたように思う。(※型番は確か、「PC1015」というものだった)

そんなわけで、作者の批評としては、現在もオークションなどで購入できる機会があるのなら、ぜひお勧めのパソコンだと思った。
ちなみに…価格比較のサイトである「価格.com」では、なかなか出品はされていない。
…というか、やはり雑誌で紹介されるように、「当たり」を引けば、なかなかに使えるパソコンであると断言できるわけだ。

・補足事項 (※2019年9月訂正)

2018年12月頃、同メーカーから新たな機種が発売されている。
その型番は、「X207NA」という機種だが…搭載メモリは4GBに増えているが、CPUがインテルの廉価版の「Celeron」に変更されている。
さらに、内蔵されているストレージデバイスは従来と同じSSD(※または関連製品)なのだが…容量は32GBに落とされている
但し、インストールされているOS(Windows 10)は、今後のことを考慮されているのか、きちんと64ビット版となっていた。
また、モデルによってそのOSにも違いがあるのか、兼ねてから聞いていたスペックとは違い、「Home」晩であった。(「Windows 10s」というバージョンのはずだが、実際には違っていた)


・補足事項 「WiFi」の機能は、ネット接続のためだけのものではない

パソコンの数が増えてくると、何気に「LAN」を組みたくなるのは、ごく当たり前のことである。
…ただ、通常のケーブルや「ハブ」を使用して、パソコン同士をネットワークで接続する、いわゆる「有線LAN」と呼ばれる構成に対して、「無線LAN」による接続という構成もある。
これは、パソコンに内蔵された「WiFi」の機能を用いて接続する方法だ。
しかし、無線LANによる接続は、「親機」と「子機」の概念が伴い、また、子機同士の接続(※「アドホック」による接続)も可能である。
…というか、ネットワーク技術に詳しい方なら、この問題については、すぐにお分かりになると思う。

実は、「Windows 8.1」以降では、アドホック接続の機能をサポートしていない。
但し、「コマンドプロンプト」による操作で、それを回避することができる。
ここではその詳細は解説しないが(※既に他のサイトで情報は公開されているため)、「Windows XP SP3」がインストールされた無線LAN機能付きのパソコンと、なんなく相互通信(無線LANによる接続)は可能であったことは、ここに書いておこう。(※この方法でのLANを組まれる方は、必ずセキュリティにご注意を!)



・作者も驚き!巧妙な「詐欺」サイトの出現

まさかとは思っていたが…作者もまんまとハメられそうになった、実に巧妙な詐欺サイトを、このあいだみかけた。
Windowsセキュリティシステムが破損しています」…と、ダイアログボックスが表示されるものなのだが…実によくできたものだと思った。
なにしろ、表示そのものがまったくそれらしい。

さて、ここで誤って「更新」をクリックしてしまうと…パソコンに異常をきたすおそれがある。
そんなときの対処方法は、現在ネット上で公開されているので、そちらをご覧いただくとよいだろう。
とりあえずは何かの悪意のあるプログラムが感染するわけではないらしく、ウィルススキャンなどで駆除できるとのことだ。
ただ…。
作者の見解では、かなり以前に問題となった、ブラウザを立ち上げたときの「初期ページ」の設定の改ざんのような障害がみられるらしく、普通にパソコンを触っていて、何かの違和感を感じたら、すぐに調べることをお勧めする。
しかし本当に凄いものが出てきたものだ…と、作者は感心してしまった。


・追記事項 (※2019年9月追加)

実はある事情があって、せっかくのこのパソコンを手放し、そして…再び手にすることとなった。
このパソコンはどちらかといえば、非常に使いやすい、かつ、万能なモバイル機ともいえる。
…但し、OSは32ビット版なので、それなりに制限はあるものの、2GBの内蔵メモリとは思えないほど軽快だ。
ところでこの機種は以前、Windows 10搭載のパソコンとして、とあるムックにも掲載されていたが、その用途というものを考えれば、かなり使えるパソコンである。
また、オークションや中古販売で滅多にみかけない機種でもあるので、もし中古などで良品を手に入れたなら、それはかなりラッキーなことなのでは…とも思う。
ただ…このパソコンは最終的に再度、手放すこととなったが…また購入する機会があれば、ぜひ購入したいなとも思っている。